将来を見据えた政策によって、オーバーシュートは避けられる

社会は将来を見据えることで、限界が近づいて来ていることを知り、限界との衝突を避けるために必要な予防策を取ることができる。オーバーシュートと崩壊の問題は、少なくとも理屈上は解決できる。しかし、実際に解決するのは難しい。なぜなら、将来を見据えた政策というものは、たいてい明日のために今日を犠牲にすることを求めるからだ。賢明な政策は、人間のフットプリントが持続化不可能なレベルに踏み込むのを許さない。つまり、短期的に利益を上げることを狙った拡大を阻もうとするのだ。短期的視野に立つ有権者が力を持つ民主主義社会や、短期的な利益を追求する投資家が支配する自由市場において、そうした政策を遂行するのは難しい。

『2050 今後40年のグローバル予測』

 ヨルゲン・ランダース/著 野中香方子/訳 P408